伏見顕正の政経塾

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【小説】小泉構造汚職⑤米国『米国のために郵政を解放せよ』

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【ブッシュの愛人とも噂されたコンディこと国務長官コンドリーザ・ライス、不仲の副長官のゼーリックを干し上げて、彼に郵政民営化担当の仕事に出世を賭けるきっかけを作った。左がライス、右がゼーリック】

 

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西川「表現が、どんどんどんどんエゲツナクナッテくるな~Reverse Kamikaze Attack(逆カミカゼ作戦)って何のことだ?」

持「ああ、それ?ほら、例の“刺客候補作戦”ですよ。」

西「あれも、ゼーリックが考案したのか?しかし、何でまあ奴は、ブッシュに命令されたとはいえ、ここまでやばい仕事を引き受けたんだ?後々ばれたら、日米間の外交問題に発展するぞ!!」

 

この当時、ゼーリック自身も、出世と人生がかかった一つの大きな賭けに出ていた。

2005年の1月に、郵政民営化法をUSTR(米国通商代表部)のスタッフとともに一から作り上げて、竹中に丸投げした後、USTR代表を辞して、国務省の副長官に就任していた。

これは、ブッシュ政権内の一連の人事異動の関連であった。

しかし、ゼーリックは上司である国務長官の、コンドリーザ・ライスと全くそりが合わなかった。

二人は、米国国務省内の主導権を争って、何度も激しくやりあい、対立した。

国務省内のNo1とNo2の覇権争いは沈静化せず、最終的に大統領ブッシュの判断を仰ぐこととなった。

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しかし、当時から公然の秘密とされたのは、ライスはブッシュの愛人だということであった。(ブッシュの黒人女性好きは有名であった)

愛人と単なる男の部下が争った場合は、どちらの肩を持つだろうか?

ブッシュは当然の如く、ライスの肩を持ち、非はゼーリックにあるとした。

しかし、ブッシュは有能なゼーリックを首にはせず、国務副長官のポストに据え置いた。

女の恨みは恐ろしい・・・遺恨が生じたゼーリックを、上司のライスは徹底的に干し上げて仕事を与えなかった。

このままでは、出世の芽をつぶされる・・・
思いつめたゼーリックは一大決断をしてブッシュに直訴した。

「日本の郵政民営化の特命担当にして欲しい!」
ブッシュは快諾した。可愛い愛人の為に、一旦外したゼーリックではあったが、その有能さは高く買っていたのだ。

ゼーリックは、以上の経緯から、ライスとのバトルでの失点を取り戻し、次の出世のチャンスにつなげるために、自らリスクの高い任務を請け負ったのだ。
(一説によると、この時、日本の郵政民営化を成功させたら、その報酬として世界銀行の総裁に就任させると言うブッシュとの約束があったとも言う。)

従って、出世の失地回復のため来日した、ゼーリックの気迫と執念は凄まじいものがあった。

 

 

2005年8月9日

夜 経団連ビル

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東京、大手町、経団連ビルの会長応接室

東京は昼間は連日の猛暑日、夜はオフィス街特有のヒートアイランド現象で、夜8時を回っても外気温は30度を超えていた。

メンバーは日米とも前回と同じ。
いつもどおり、ゼーリックが口火を切った。

ゼ「ミスター奥田!NHKとフジテレビ、TBSとの交渉はどうなってるんだ?報告してくれ!!」

奥「はい!NHKは去年(2004年)の度重なる社員不祥事や受信料不払い運動で、昨年海老沢会長が国会に参考人招致されたばかりであり、今再び政府と事を起こしたくないというのが本音でした。海老沢会長とさしで交渉しましたが、“全面的に政府与党を支持する”と言う言質を取ってきました。フジについては実は私と日枝会長は例のライブドアの件であまり仲が良くないのですが、フジの天敵のホリエモン村上ファンドも未だ健在なので、政府を敵に回したくないんでしょう。政府支持の言質を取ってきました。TBSもフジと同様に、楽天の三木谷社長がTBS株を買い進めてますから、政府支持を約束してきました。」

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その当時は、ホリエモン村上ファンド楽天の三木谷宏のような市場原理主義者達が我が世の春を謳歌していた。

市場原理主義者と言えば、格好は良いが、要はホリエモンに象徴されるように、飽くなき強欲主義のもとに、法に触れさえしていなければ、何もしてもいいんだと言う、モラル亡き金の亡者である。

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2005年の春に世間を騒がせた、ホリエモンVSフジテレビのニッポン放送株を巡る攻防では、何も知らない視聴者は皆、ホリエモンを応援した。

宣戦布告もなしにいきなり、先制パンチを喰らって、慌てふためくフジの日枝会長を、被害者であるにも拘らず、無責任な小泉や、盟友の経団連会長の奥田は助けようともせずに、逆にホリエモンを支持さえした。

ホリエモンに象徴される市場原理主義者達は、別に社会を改革しようとしているのではなく、既存の勢力のフジテレビやTBSに対して“俺達にも分け前を寄こせ”と言っているチンピラ集団にすぎない。

ニッポン放送株を巡る争奪戦が膠着状態に陥った時に、ホリエモンは更に日枝会長に揺さぶりをかけるために、フジテレビの株も買い進めるぞ!とブラフをかけた。

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慌てた日枝会長は、大企業の株主にフジテレビ株を売らないでくれ!と頼んで回ったが、それをあざ笑うかのように拒否して、奥田はトヨタ自動車が保有していたフジテレビ株を全て売却した。

 

今回の“カンポの宿汚職”も民放キー局が頑なに無視して敢えて報道を避けている中で、
唯一、フジの“サキヨミ”が一番早くテーマとして取り上げた。

政局に触れるテーマを敢えて、取り上げるにはそのTV局のトップの承認が不可欠だ。
フジの報道姿勢には、2005年春のホリエモン騒動の際の、日枝会長の奥田に対する意趣返しだとみている。

要は民放トップとしては、わざわざ政府と事を荒立てて、総理とズブズブの関係の経団連会長で、日本一の広告主を敵に回しても良いことは何一つないと、あっさり屈服したのである。

逆らえば、フジの日枝会長のように、ホリエモンのような輩から敵対的買収を仕掛けられた時に、助けるどころか、政府と経団連にぐるになって苛められることを恐れたのだ。

 

ゼ「ミスター奥田、ご苦労さんだった。ところで、マスメディア対策として何か有効なやり方があれば提案してくれ!!」

奥「ちょっと古い話ですが、私が体験したエグイ、マスコミ対策があります。1986年に当時のトヨタ自動車の社長の豊田章一郎の女性秘書が投身自殺しました。まあ、有体にいえば、社長の愛人だったんですけどね。この事件を当時、トヨタの暗部を取材していたやり手のルポライターにキャッチされちゃいましてね(笑)翌週の週刊誌にトップ記事として載りそうになったんですよ。」

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ゼ「ほう?よくある話だな。それでどうしたんだ?」

奥「ルポライターと編集長に口止め料を握らせようとしても拒否された。仕方ないんで、私が、雑誌社の社長と掛け合って、その記事が載る予定になっていた号の広告用ページを頭から尻尾まで前ページをトヨタが買ったんです。要は、その週刊誌の全てのページをトヨタが金で塗りつぶしたわけですよ(笑)さすがに、その記事は掲載されませんでした。」

ゼ「ミスター奥田!君は素晴らしいセンスを持っている!!経営者にしておくのは勿体ないから、アメリカに来てマフィアをやらないか?おれがシカゴ筋に紹介してやるよ(笑)」

奥「おほめにあずかり恐縮です。」

ゼ「いいか!今奥田が良いアイディアを提案してくれたが、我々選対チームが準備していた正解も同じだ!!今度の衆議院選挙は“劇場型ワイドショー型メディア選挙”のコンセプトでやるんだ!!」

飯島「具体的にどうやるんですか?」

ゼ「NHK、及び民放キー局5社の全てのニュース番組、ワイドショー、トークショーの番組スポンサー枠を朝から放送終了まで完全に買い取るのだ!!」

 

日本側一同、唖然として言葉を失う。

ゼ「今日から、投開票日の9月11日までの全ての番組枠を買い取る。1社当たり1000億円のゲンナマをぶち込んで買い占めるのだ。いや、心配するな、郵政民営化が実現すれば、簡易保険の力も衰えて、われわれ米国の保険会社も日本市場で旨味にありつけることになるから、既に、アリコやアフラック等から、“どうぞ好きなだけお使いください”と莫大な広告料を預かってきているんだ。金には糸目はつけないぞ(笑)飯島!お前が直接、各局のトップと会って、ゲンナマを手渡すのだ!!いいか!!」

飯「ハイ!承知つかまつりました!!」

ゼ「さてと・・・次に重要なのは、Reverse Kamikaze Attackだな(笑)」

小「何それ?」

ゼ「ふふふ・・・郵政造反組に対する刺客候補だよ(笑)おい!小泉、今度の刺客候補の中にこの4人は絶対に入れろ!!」

言い終わるとゼーリックは、小泉と飯島の前に乱暴に一枚のメモを放り投げた。

小「え、ええ~皆評判の悪い連中ばかりじゃないか」

メモには、片山さつき佐藤ゆかり堀江貴文猪口邦子の名前があった。

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飯「佐藤ゆかりなんて、過去に自民党の公募に応募して2回も落としてるんだよ」

ゼ「だから、良いんじゃないか(笑)落とされた2回はいずれも自民党野中広務が居て、未だ自民党に良識があったころだよな(笑)フェルドマン、佐藤の凄いスキャンダルを解説してやれよ(笑)」

フ「こいつは、ニューヨーク州立大学でP.H.D(博士号)を取ったことになっているエコノミストですが、ニューヨーク時代から評判は最悪です。実態は高級コールガールじゃないかと言う人もいます。州立大学での博士号も学長に“枕営業”をしてとったんじゃないかとのもっぱらの噂です。」

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飯「ひぇ~そんな奴勘弁してよ~」

フ「まだあります!佐藤は日本に帰ってからも、政財界に顔を売るために、某全国新聞の幹部に取り入って自ら愛人となり、利用し尽くしました。しかし、利用価値がなくなって、その男をポイ捨てしたために、男と揉めて、男のほうは家庭崩壊覚悟で、佐藤のラブメールを週刊誌に暴露する準備をしているそうです。」

小「爆弾抱えて自民党に飛び込んでくるようなものだな~」

ゼ「だから、いいんじゃないか(笑)今度の選挙戦略のポイントは
① 国民の目を郵政民営化の問題からそらすことにあるんだ。
② 国民の目を自民党を真っ二つに割った抗争のドタバタ騒ぎに釘付けすることにある。
③ 劇場型ワイドショー型のTV選挙で、野党民主党の存在を埋没させるのだ
④ その為には退屈しているB層の関心を強烈にひきつける、こいつらトリックスターが絶対に必要なんだよ(笑)」

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確かにゼーリックの言うとおり、造反組野田聖子に対する刺客候補として、佐藤ゆかりを擁立したとたんに、各週刊誌は、争って佐藤の人物紹介そっちのけで、選挙まで毎週毎週、佐藤の豊富なスキャンダルを記事にし続けた。

フェルドマンの予想通り、佐藤に用済み廃棄された大新聞の重役も、家庭崩壊覚悟で
佐藤との不倫関係を告白して、佐藤からのラブメールを暴露した。

「もっともっとゆかりしてください」は一時流行語にすらなった。

 

ゼ「元大蔵官僚の片山さつきは、持山、お前、浅からぬ因縁があるんだろ?」

持「ええ、こいつは舛添要一の元女房と言うだけでも十分に有名な女ですが、それよりも何よりも、大蔵省内での評判と評価は最悪ですよ。

何年か前ですが、われわれゴールドマンサックスが日本国債のディーリングに参加させて貰おうと申請した際に、理財局国有財産課の担当がこの女で、何故か理由も説明せずに却下するんですよね。

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それで、いろいろ調べたら、私が音頭をとって開催していた、毎週末大蔵キャリア達との懇親ゴルフコンペに一度も呼ばなかったことを根に持っていたらしいんです。

呼ばなかったのは、当時から省内の評判は最悪で、他のキャリア達からも片山は誘わないでくれと言われていたからなんですよ。しかし、こいつが首を縦に振らなきゃ、国債市場には一歩も入れないんで・・・

私は思案した揚句、ゴールドマンの米国本社を動かして、マイク・マンスフィールド元駐日大使から、当時の宮沢大蔵大臣に、片山を説得するように手紙を書いてもらったんです。

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やっと、国債のディーリングに参加できるようになりましたが、この件で片山は省内でまた評価を落としたようですね。」

飯「去年だか、亭主と二人で森元総理に選挙に出たいと直訴してきたらしいけど、森さんは片山の良くない評判を聞いていたから、即座に断ったらしいね(笑)」

ゼ「だから、良いんだよ、佐藤の場合と同じさ(笑)」

 

ゼーリックの言うとおり、片山さつき郵政造反組城内実刺客候補に擁立されたときに、各週刊誌は、舛添要一の元女房と言う話題から入って、二人の出会いから離婚までのドタバタ、片山の財務省内での武勇伝とまではいかない数々の悪評、

「辞めてくれて本当にほっとした」

と言う元上司の率直な感想まで争って毎週特集を組んだ。

 

このメデューサの様な悪魔的な女、片山さつきのスキャンダル力によって、自らの地位を捨ててまでも、郵政民営化法案に反対票を投じた誠実な国士の城内実はいつのまにかすっかり存在感を消されてしまっていた。

佐藤や、片山に象徴される、スキャンダル満載の最強のトリックスターの登場で、ワイドショーは賑わい、視聴率は上がり、国民や有権者はいつの間にか、選挙の争点が郵政民営化であることをすっかり忘れて、ワイドショーに夢中になった。

ホリエモン猪口邦子も含めた4人の最強のトリックスターたちは、ゼーリックの思惑通り、B層(その多くは無党派層と重なる)の自民票への取り込みに絶大なパワーを発揮した。

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郵政民営化の民意を問うためであった、解散総選挙がいつに間にか、自民党を真っ二つに割るお家騒動、自称改革派と、レッテルを貼られた抵抗勢力との安っぽい任侠映画並みの抗争ドラマに巧妙にすり替えられたのだ。

巻き添えを喰らって、選挙に引きずり込まれた民主党は、生真面目な岡田克也代表が財政再建を掲げて選挙戦を戦ったが、刺客候補と言う禁じ手のトリックスターを使った“劇場型ワイドショー型TV選挙”に埋没を余儀なくされた。

普段は民主党に投票していたB層も、ゼーリックらブッシュ選対顧問団が提供したサーカスにつられて、皆自民党に投票したのだ。

 

西川「ゼーリックと言うやつは恐るべき戦略家だな~」

持「郵政民営化のための解散総選挙であるにも拘らず、日本の有権者の目を郵政民営化からそらすように誘導する。それは、郵政民営化とはアメリカのための郵政民営化だったから、国民の関心がそこに集まっちゃあまず

かったわけですよ(笑)」

・・・・・続く

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